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【02.12.22】神田ビジョンを切る 「安心・元気」というが、その実態は

2002年12月22日 「愛知民報」

 神田真秋現知事は2日、知事選にあたって「新愛知づくりビジョン」を発表しました。「安心・元気が重要なキーワード」(同知事)として6項目を並べています。「オール与党」に支えられた神田県政がやってきたことはその正反対のことばかりです。 ビジョンと瞑想をくらべてみると――。 

生き生きと暮らせる健康・福祉社会づくり

 1929年、全国にさきがけ「無らい県運動」を展開し、ハンセン病患者を強制隔離に追い立てたのが愛知県でした。神田知事はいまだに1度も療養所に見舞いに訪れたことがありません。

 県の老人ホーム定員数(65歳人口あたり)は45位、保育所数(0―5歳人口あたり)は37位、県の福祉は全国最低ランクが並びます。

 待機者が1万人を超える特別養護老人ホームは民間に委託してしまい、無認可保育所や障害者作業所の補助金は廃止またはカットしたまま。県単独で無料にしていた68歳からの医療費も段階的に廃止します。神田県政4年間で2995億円の県民サービスを切り捨てるなど弱者をねらいうちしています。

災害に強い安全な県土と環境先進県づくり

 東海豪雨の夜、必死に働く県職員をしり目に、最高指揮官の神田知事は名古屋市内にいながら一宮市の自宅に帰ってしまいました。翌日、東京で開かれる万博のための会合に備えるためというのが理由でした。「『あれはまずかった』と振り返る与党議員もいる」(「朝日」02・9・28)といわれます。

 阪神大震災後の96年度から設けた木造住宅の耐震工事費の利子補給制度は、あまりにお粗末な制度のため6年半で利用ゼロ。今年度から耐震診断の補助制度を導入しましたが、東海地震で倒壊の危険があるとされる76万戸のうち今後5年間で12万棟を診断するというスローテンポ。静岡県が実施している改修費の補助は先送りです。

 県立学校978棟のうち813棟が東海地震で大被害を受ける可能性があるとされているのに、昨年度末までに改修済みは79棟だけ。今後5年間で改修するのは約170棟です。

教育の新生と男女共同参画社会づくり

 高校進学率は92・4%で全国最下位をつっ走っています。県民1人当たりの教育行政費も全国最下位です。超過密養護学校の学校費は全国平均の半分以下。児童・生徒1人当たりの教員数も全国最低ランクなのに、神田県政は教員など2268人の県職員削減を強行しました。地域に密着した高校や定時制をつぶそうとしています。

 DV(夫などからの暴力)の被害女性のかけこみ寺となっている施設も廃止しようと計画。反対運動で存続させました。

愛・地球博、中部国際空港と国際交流大都市圏づくり

 神田知事は昨年1月の新聞インタビューで「万博・空港がなければなにをしていたのか」との質問に「想像力が働かない」(「日経」01・1・13)と答えました。

 今回知事選の事務所開きでも、神田知事は「景気はたいへん厳しく、先行きは不透明。しかしわが愛知には空港と博覧会という2大事業が目前に控えており、全国から注目されている。きちんと仕上げてこの地域の活力につなげていくのが私に課せられた最大の課題」と強調しました。

 しかし、中部国際空港は地元では「騒音だけ、特需少ない? 怒る首長も」と「中日」が書くほど(02・12・7夕刊)。万博は、6カ月のイベントのために巨費を投じ、青少年公園の再整備に100億円という壮大なむだ遣い事業です。会場建設費の民間負担分が集まらず、神田知事らが協賛競艇などの観戦に興じるなどギャンブル頼りです。

 「脱ダム」にはそっぽを向き、設楽ダム建設を推進しています。

 県の02年度の公共事業費は前年度当初比で9・6%、県債(借金)の新規発行は159・8%と全国でもダントツの増加。神田県政4年間で史上最悪の8233億円も借金を増やし、県債残高は4兆円を超えました。県は万博、空港開港後もさらに借金が増えると試算しています。

 神田県政には、空港をめぐる談合や漁業補償疑惑などダーティーさがつきまとっています。

たくましい産業県づくりと地域雇用の創造

 県内の完全失業率は4%、公共職業能力開発施設数(15歳人口当たり)は全国最低。県内の自殺者は昨年1486人と93年の1・5倍にのぼりました。

改革・分権・協働の県政づくり

 市町村合併の推進に熱心です。地方自治・住民自治の否定につながる道州制の検討を公約しています。

 「目だたない」とリーダーシップのなさには与党内からも不満がもれるほど。

 この4年間、県民との直接対話はほとんどありませんでした。

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