HOME > 資料集 > 活動と主張(バックナンバー) >

【02.09.22】「オール与党」の松原・名古屋市政 公約違反次々実行へ 自治体の役割なげすて国保の世帯主「8割給付」切り下げ提案

2002年9月22日 「愛知民報」

 名古屋市は9月議会に国民健康保険の世帯主8割給付を7割に切り下げる条例改悪案を提案しました。来年度の予算編成ではトップダウンで福祉・教育予算を大幅削減する方針を明らかにしています。昨年4月の名古屋市長選で、日本共産党以外の「オール与党」陣営は、福祉をいっそう充実させると宣伝しました。それから1年半。公約違反を次々実行しようとしています。それもこれも万博、空港に向けた浪費オンパレードの市政を改めようとしないからです。

 市は20日から始まった市議会に「国民健康保険条例」の一部改悪案を提出しました。来年4月から世帯主の負担を3割に引き上げようとするものです。
 2001年6月議会。日本共産党の村瀬たつじ議員が「国保世帯主8割給付」(事業開始1961年度)、「敬老パス」(同1973年度、65歳以上の市バス・地下鉄無料制度)、「福祉給付金制度」(同83
年度、68・69歳の老人医療費助成制度対象者の一部負担金を無料化)について「現行制度を必ず守るか」と質問しました。
 いずれも松原武久市長が01年4月の名古屋市長選で「名古屋だけ」(法定ビラ2号)と自らの実績のように誇った施策です。「なかなかがんばる名古屋の福祉。さらに一層の充実をめざします」(同)と公約していました。
 松原市長は「できるかぎり後退しないよう努めたい」と答弁しました。再選されてわずか2カ月後の後退、そして今回の公約違反です。松原市政を支えている自民、民主、公明など与党各党の姿勢も問われています。

万博・空港めざして浪費をつづけ
来年度予算 福祉・教育バッサリ
トップダウンで容赦なく

 名古屋市は5日、来年度予算の編成における財源配分を市議会財政教育委員会に示しました。経常経費などの一般財源を311億円圧縮して各局に配分します。職員削減による人件費や公共施設の建設費の削減に加え、新たに物件費、補助費、特別会計繰出金などを10〜20%カットする方針を打ち出しました。
 一方で、継続している大型公共事業は削らず、重点施策などに市長裁量として150億円を確保します。
 市財政は99年度に赤字に転落しました。その脱却をめざすとして昨年9月、「行財政改革計画」と「財政健全化計画」を策定。市幹部職員による「経営会議」と柴田昌治・日本ガイシ会長ら5氏による経営アドバイザー会議を設け、予算編成システムを要求積み上げ方式からトップダウン方式に改めるとしました。
 「行財政計画」では、一般財源から1億円以上出している約300事業を行政評価の対象として見直します。このうちには「敬老パス」もふくまれます。
 ことし7月25日、「健康と環境を守れ!」愛知の住民いっせい行動デーで、患者団体の代表が松原市長にこう迫りました。
 「平成11年度(99年度)から補助金のカットが続けられ、今年度はすでに半額になっている。会議の交通費も郵便も出せない」
 松原市長は「しんしに受け止めた。財源配分の中で予算編成をしている最中。全体を見極めていきたい」と答えました。そうして出してきたのが、福祉・教育大幅カットの方針でした。「財政健全化計画」では「扶助費、物件費、補助費等、維持管理費及び特別会計繰出金の合計額については、全体として毎年度1%程度の伸びに抑制することを目指す」としていました。
 来年度の予算編成ではこれを「物件費、補助費等」と「その他」(特別会計への繰出金など。維持補修費はのぞく)に分け、それぞれ20%と10%圧縮する方針に改めました。
 これにより敬老パスなどへの補助費、学童保育、障害者施設の運営費、文化小劇場やごみリサイクル公社への委託費など市民生活に直結する事業がばっさり削られるおそれが出てきました。

名古屋市が示した来年度予算の圧縮方法

・人件費−−「定員管理計画に基づく職員削減数に見合う額
・投資的経費−−財政健全化計画の数値目標に向け20%
・物件費、補助費等−−事務事業を厳しく見直すことにより20%
・その他−−10%(ただし、維持補修費については、施設の老朽化等を考慮し、圧縮せず)

財政再建へ 日本共産党が展望

 「財政健全化計画」では、このまま何の手も打たなければ毎年度500〜600億円の赤字が続き、計画を実施すれば05年度には黒字に転換するとはじいていました。その前提条件とした「経済成長率2%」はすでに崩れています。3兆3千億円(2001年度末)にものぼる借金の返済に毎年度約1500億円もつぎこみます。
 その最大の要因は万博、中部国際空港、徳山ダム、長良川河口ぜき、サイエンスパーク、国の経済政策による街路事業などの公共事業費です。「福祉・教育」は充実どころかすでに削りに削ってきました。
 日本共産党市議団の試算では、こうした開発型事業の中止・見直しで今後5年間で約850億円、そのほかの公共事業を2割削減することで同約1600億円減らすことができます。
 同市議団では、あらたな借金を減らし、大企業への正当な課税で税収を増やすことなどで財政再建の展望を開くとしています。

▲ このページの先頭にもどる