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【05.10.23】名古屋・あおなみ線 乗客、予測の3割 
開業1年、赤字8億3700万円 
住民参加で利用拡大策検討を

10月23日「愛知民報」

荒子川公園駅に入線する名古屋臨海高速鉄道「あおなみ線」金城ふ頭行き電車=2004年10月6日、名古屋市港区 中部国際空港建設・愛知万博開催に向け愛知県と名古屋市、この地方の大企業が共同出資でつくった第3セクターの鉄道路線が苦戦しています。いずれも当初の需要予測が外れています。
 一つは、愛知万博で“走るパビリオン”として観客輸送に活躍した愛知高速交通株式会社の東部丘陵線・リニモ。万博後は本紙10月9日号で紹介したように昼間の車内はガラガラです。

 もう一つは、名古屋臨海高速鉄道株式会社の「あおなみ線」。同線は、名古屋駅と名古屋港の金城ふ頭間15.2キロを27分でむすぶ鉄道。この10月6日で開業1周年を迎えました。こちらもガラガラです。

 名古屋臨海高速鉄道株式会社は、名古屋市約56%、JR東海約28%、愛知県約14%のほか、名古屋港管理組合、中部電力、トヨタ自動車、UFJ銀行などの出資で設立。中川区八田付近の名古屋貨物ターミナルと名古屋港を結ぶ貨物線・西名古屋港線を総事業費約1031億円を投じて旅客化し「あおなみ線」を整備しました。1997年に運輸大臣(当時)から鉄道事業免許を受けました。そのときの経営見通しは、1日の利用者約8万3千人、開業後13年目に単年度損益で黒字、開業後27年目には累積損益でも黒字になるとして建設を進めました。

 ところが、開業前年の2003年3月に利用者数を1日約6万7千人に下方修正しました。単年度の黒字は46年後、累積の黒字化は見通しが立たないというものです。
 開業後1年間の利用者数は下方修正した利用者数の約27%、1万8千人にすぎません。朝夕をのぞく時間帯の列車内はガラガラ。昨年4月1日から今年3月末までの赤字は8億3700万円に上っています。早くも、名古屋市は運転資金の無利子貸付など公的支援策を検討しています。
 関係者は、笹島開発の遅れや金城ふ頭のイベント来場者の減少を需要予測が外れた要因にあげています。

 それがあるにしても予測の約27%は少なすぎます。県議会で同線の需要予測の甘さを問題にしたことがある日本共産党の林信敏前県議は「イベント需要の見込み外れもあるが、あおなみ線は事業計画を数字上なりたたせるために基礎需要を過大に見込んだ。開業前から経営破たんは見えていた。日常利用の実態をリアルに見て、沿線住民、通勤・通学者の利便性を第一に、住民参加で利用拡大策を検討することが必要」と語っています。

あおなみ線の需要予測と実績

1997年鉄道事業申請時の需要予測
2003年の需要予測見直し
開業後の実績 

約 83,000人/日
(うち基礎需要約62,000人)

約 67,000人/日
(うち基礎需要約60,000人)

約 18,000人/日

 

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